インタビュー アイコン  社会の闇漫画賞審査員 ジャーナリスト 丸山ゴンザレス

丸山ゴンザレス氏写真

――今回「社会の闇」漫画賞の審査員の依頼を受けて、どう思われましたか?

丸:自分ではずっと最前線にいるつもりだったから、「若い人をジャッジする年齢になったんだなぁ」という違和感が正直ありました。引き受けたのは単純な理由で、まだ世に出てない漫画を読みたいからです。「社会の闇」という難しいテ―マを、みんながどういうかたちで漫画にするのか興味があるし、すごく読んでみたいと思いました。
社会悪をリアリティをもって上手に描いて成功した漫画って、多くないと思うんですよ。『闇金ウシジマくん』(真鍋昌平/小学館)や『新宿スワン~歌舞伎町スカウトサバイバル~(以下:『新宿スワン』)』(和久井 健/講談社)は、数少ない成功例だと思っていて。裏社会がベ―スの原案はリアル過ぎて、漫画市場には不向きとされがちなんです。だから今回の漫画賞で、第二の『闇金ウシジマくん』や『新宿スワン』になるような作品に出会えたらいいな、と期待しています。

――『闇金ウシジマくん』や『新宿スワン』が成功したのは、なぜだと思いますか?

丸:編集力の高さですね。『新宿スワン』は、リアリティをもって時系列を切り取って、そこに登場人物をうまく絡めているんです。あと背景に流れる時間軸が、僕ら世代が実際にあの界隈で生きていた頃だったから、より現実味があるなと感じたんですよね。大体はリアルな時間軸をそのまま漫画に描くと薄っぺらくなってしまうんです。漫画の見せ方としての時間軸と、現実の時間軸とでは違うから。ただ両作品をマネようとするとその作品になってしまうので、単純にマネをするのは難しいと思いますね。
『闇金ウシジマくん』は、社会の闇と悪がひとつの物語としてうまくまとまっている。真鍋先生の作品には「ああ、あの実在の事件を使ったんだな」って膝を打つことが多いですね。とにかく編集力が違います。真鍋先生はものすごく資料を読み込んでいるし、現場にも足を運んでいる。作品を見れば、しっかり取材して作り込んでいるのがわかりますよ。
漫画にリアリティをもたせるには、真鍋先生のように現場を取材することが重要だと思います。たとえばパチンコ屋さんで、無機質に並んでいるパチンコ台の間を主人公たちが歩くシ―ンがあるとします。実際にパチンコ屋に行くと、席取りのためにタバコが置いてあったり、台の上には常連さんの紙コップが置いてあったりするし、どの台にお客さんが集まっているかなどがわかる。その場に行かないと気づけないリアルが、いっぱいありますから。

――取材でいざ治安が悪い場所へ行くことになると、恐怖心を抱いてしまいませんか?

丸:う―ん、そういうことを考える人は、まず行かないと思うな(笑)。僕の場合は「怖い」が行かない理由にならない。行きたいから、なんとしても行くだけで、怖いなら行かなきゃいいんです。

――行動に必要なのは、やる気と意思の強さということでしょうか?

丸:「好き」という思いも大事です。たとえばエッセイ漫画家が一発当てるときって、採算を度外視した面白さがあると思うんです。自分の生き方を全部描き切っちゃうような作品。「やりたい! これしか生きる道がない!」っていう強い思いで描いているから面白い。圧倒的な「好き」の量で、物事の掘り下げ方は一層深くなる。『クレイジ―ジャ―ニ―』(TBS系/放送終了)もそうですけど、メディアに関係なく、何かに夢中になっている人たちの手がけた作品は、単純に面白いですよね。

――子供の頃から旅が好きでしたか?

丸:僕の育った仙台は、せまっくるしい街なんですよ。高校卒業までに、あちこち行き尽くしちゃうくらい。それがイヤでイヤで。とにかくどこかに行きたくて、高校時代からあちこち旅をしてました。
旅の記録をはじめたのは、大学生になってからかな。当時は旅行記を書こう、ましてや本を出そうなんて考えてなくて、なんとなくメモをとっていた程度でした。文章を書くのも別に好きではなくて、国語の成績「2」とか取っていましたし(笑)。あの頃はただ旅が好きで、どれだけ安く長く滞在できるかという予算的効率を求めた結果、いろんなトラブルを呼び込んでました。でも、当時はトラブルとしか思えなかった出来事も、いま振り返ると面白いネタばかりなんですよね。もっとトラブルに飛び込んでおけばよかった! と後悔することもありますよ(笑)。
だから当時の自分に嫉妬しちゃうこともあります。何も考えずにただ突っ走ったあげく起きたトラブルと、いま取材しようと思って起きたトラブルとでは、面白さの度合いがぜんぜん違うんです。前者のほうが圧倒的に面白い! もうできないし、やりたくないけど(笑)。

――旅の目的地を決める動機になった漫画作品はありますか?

丸:ないですね。僕の場合は逆です。漫画で見て「行ってみよう」じゃなくて、行った先で「ああ、あの漫画のあそこだ!」と気づいてアガることはあります。以前、取材でル―マニアのマンホ―ルタウンに行ったとき『MASTERキ―トン』(浦沢直樹/小学館)のあのシ―ンはここだな! って場所を見つけて。嬉しくて写真を撮っちゃいました(笑)。
『BECK』(ハロルド作石/講談社)に登場するニュ―ヨ―クの街角なんか、「ここ! ここ!」って大興奮しました。ハロルド作石先生と対談したときに、その思いを語ったんですが、原稿で読み返したら、ただの気持ち悪いファンになってた(笑)。それ以来、この漫画のこのシ―ンはあそこだよね!って気づいても、あんまり言わないようにしています(笑)。

――高野秀行先生の著書がお好きとのことですが、漫画賞に応募する人に読んでおいてほしいオススメの本などはありますか?

丸:高野先生は好きで、何回読み返しても面白い著書がいくつかあります。でもそれは僕にとって面白いんであって、他の人にとってどうかはわからない。『ワセダ三畳青春記』(集英社)で表されている探検家の日常なんて、すごくしみったれてて話も進まないし、他の人には何も面白くないと思われそうだけど、僕はすごく好きなんですよね。
以前、高野先生にお会いしたいと打診したとき、最初は断られたんですよ。冒険談を聞きたがって寄ってくる人って、いっぱいいるから。だけど、僕が『ワセダ三畳青春記』が大好きで、『アジア新聞屋台村』(集英社)の話も聞きたい! とお願いしたら「そういうスタンスなら会うよ」とお返事をいただいて。
僕は高野先生を好き過ぎたから、冒険談じゃなくて日本で普段何をしているのかに興味があった。それが実を結んで、会えたんですね。こんなふうに「好き」のポイントって人によって違うから。高野先生の著書以外でも、僕がオススメする本はないですね。それに、本を読んで手っ取り早く知識を仕入れるのもいいけれど、物事を自分でじっくり突き詰めて考えていくと、知らずに名著と同じような結論にたどり着くこともある。だから、無理に何かを読まないといけない、ということもないんじゃないかな。

――若い世代に向けて、なにかアドバイスはありますか?

丸:逆に若い子から「オジサン、こうすればいいよ」ってアドバイスがほしいくらい。いまの子たちは、本当にすごいですよ。SNSで情報伝達も早いし、僕が扱えないような動画編集もパパッとやっちゃう。教育レベルも高くて、学校の必修科目にダンスも入ってる。海外で普通に英語で喋れるし、すごく地味な子がいきなり飲み屋で踊れちゃうんです。「なにこれ!? すげえな!」って(笑)。そんな器用な子たちにこっちから言うことなんて、なんもないですよ(笑)。
情報収集能力も高いから、旅先で僕が失敗して右往左往したようなことも起こらない。僕が言えることといえば、せいぜい「失敗したほうが面白いこともあるかもね…」ってくらい(笑)。今回の漫画賞では、そんな若い子たちが採算度外視で描いていてくるであろう作品を通じてエネルギ―をもらったり、なにか心に刺さるものに出会えることを期待しています。

――どういう漫画を読んでみたいですか?

丸:僕の想像を超える作品を読んでみたいです。通り一遍のスト―リ―では面白くないですよね。本当に漫画は描くのが大変だと思う。物語を考えて、それを絵にして…。でも、この0を1にする作業が一番面白いと思うので、まず作者自身がそれを楽しんでいることが伝わってくるような作品がいいです。
あと、取材で知り得たことを単純にそのまま漫画にしても、硬くて咀嚼されていないものになると思うので、実際にあった事件や現象を引き合いに出すにしても、それを「この人はこういうふうに表現するんだな」と思わせてくれる漫画が見てみたいです。

編:実在の舞台、事件や社会問題を、自分の考えや価値観と混ぜて作品にできる人は「社会の闇」に限らず、本物の漫画を描ける人だと思います。難しいテ―マだけに、新人だけでなく、プロの方にもぜひ応募してほしいです。

丸:白石和彌監督を超えてほしいですね。白石監督の作品は、実際に起きた事件や、原作のあるものをうまくエンタ―テインメントに落とし込んでいて「いいな―」と思います。もしくは「団地で金借りる」みたいな、ものすごくしみったれた話とか(笑)。ものすごく狭い視点、たとえば半径2メ―トルくらいで完結しても面白いかも。なにも一大巨編だけが求められているわけじゃない。「社会の闇」ってイメ―ジしにくいテ―マだと思いますが、たとえば差別とコミュニティ―の話も、広い意味では「社会の闇」ですよね。

編:共同体の捉え方やそれに対する考え方を描いた作品は、基本的に「社会の闇」部門に投稿してもらえたらと思います。

――応募者の方々に、応援メッセ―ジをお願いします。

丸:コンプライアンスや自主規制といった、最近よく耳にする言葉に引きずられないでほしいです。自主規制って、本来は自分の判断で規制すること。「こんなの載せられないよ! って怒られちゃうかもしれないけど、描くぜ!」って、そんな作品があってもいいと思うんです。創作やものづくりは、そういうものであってほしいと思います。

賞金総額

応募資格:プロ・アマ問わず/ページ数:50ページ以内/一作品につき一つの賞に応募可能です。

受賞作はとなりのヤングジャンプ ・ヤンジャン!アプリに掲載予定です。さらに優秀作品に関してはヤングジャンプ・グランドジャンプ・ウルトラジャンプ誌面に掲載される場合があります。また、大賞・準大賞・審査員特別賞の受賞者は2021年1月開催予定の授賞式にもご招待いたします。(※交通費の支給は大賞受賞者ご本人様のみとなります)

最終候補作投稿者にはヤングジャンプ定期購読デジタルが1年間無料となる特典もございます。


※各漫画賞ごとに審査のうえ、受賞作を決定します。
※受賞本数内訳は各審査結果により異なり、各漫画賞の賞金250万円の内訳は各漫画賞で異なります。
※全40漫画賞の賞金総額が最大で1億円となります。
※賞によっては条件の異なるものもございます。詳細は賞ごとの概要をご確認ください。
※商業媒体未発表(投稿サイトやSNSなどを除く)のオリジナル作に限ります。同じ作品を同時期に他の新人賞(web媒体含む)へ応募するのはご遠慮ください。
※受賞作品の出版権、上映・上演権、映像化権などの諸権利は集英社に帰属します。
※応募された個人情報は厳重に管理し、本企画遂行以外の目的に使用することはありません。本企画遂行後、速やかに破棄致します。

郵送の場合

宛先
〒101-8052
神田郵便局 郵便私書箱 第66号
「1億円40漫画賞」係
※返却原稿用封筒を同封してください。切手不要です。

<郵送用書式をダウンロードする>

記入事項
原稿の最終ページ裏に下記を記入してください。
■郵便番号
■住所
■氏名(本名とペンネーム)・年齢
■職業
■電話番号(都合の良い時間帯も)
■今までの投稿・掲載歴
■志望雑誌(ヤングジャンプ・となりのヤングジャンプ&ヤンジャン!アプリ・グランドジャンプ・ウルトラジャンプ)※複数回答可
■作品を投稿する賞名 ※一作品につき一つの賞に応募可能です

※手書きの場合はB4判の紙に黒インクか墨汁で描き、セリフは鉛筆で濃く書いてください。絵柄にかかる場合はトレーシングペーパーの上に。版面は270×180ミリ(右図参照)。

原稿サイズ
WEBの場合

応募フォームより必要事項を入力の上、原稿データをアップロードしてください。

原稿作成時のデータは指定なく自由に作成可能ですが、提出にはweb掲載用としてjpegもしくはpngファイルにてアップロードしてください。
原稿は原則として、アナログ原稿の版面に準じます。
B4サイズでプリントアウトされるように設定し、その際、上下左右20mm以上の余白が出来るように作成してください。
各ページに必ずノンブル(ページ番号)を記載してください。
ファイルサイズの上限は100MBです。
そのサイズを超える作品は、CD-Rなどに書き込み、プリントアウトを別途添えて郵送にてご応募ください。

アップロードするファイルは圧縮し、ファイル名は「(作品名の半角英数小文字).zip」でお願いします。
例)shinman.zip

各頁jpeg/pngファイルのファイル名は半角アルファベットのタイトル名+ページ数3桁でお願いします。
例)
shinman001.jpg
shinman002.jpg
応募作品はサイズを軽くしたデータでも可ですが、最終候補作に選出された場合、オリジナルデータを別途お送りいただく場合があります。

受賞作品はすべて「となりのヤングジャンプ」「ヤンジャン!」アプリに掲載いたします。
さらに優秀作品に関してはヤングジャンプ・グランドジャンプ・ウルトラジャンプ誌面に掲載される場合があります。

WEBで投稿する
あしたのヤングジャンプ投稿の場合

各漫画賞のリンクより、アカウントをお持ちの方は投稿フォームから「あしたのヤングジャンプ」規約に従って投稿してください。
投稿作品は通常投稿と異なり、賞の決定まで非公開となります。
ただし、すでに「あしたのヤングジャンプ」内で公開済みの作品の投稿や同一作品を別途投稿することは可能です。
最終候補に残った作者様には編集部からご連絡して、年齢・性別・住所・電話番号・志望雑誌をお聞きいたします。
またその際にオリジナルデータを別途お送りいただきますので保存しておくようお願いいたします。なお、選考結果発表日時は目安です。選考状況によって前後する場合があります。

あしたのヤングジャンプで投稿する
持ち込みの場合

持ち込みご希望の場合は、平日の13時~ヤングジャンプ編集部までご連絡ください。
YJ編集部TELL

東京都千代田区神田神保町3-13
集英社 週刊ヤングジャンプ編集部
地下鉄『神保町』駅(東京メトロ半蔵門線・都営新宿線・都営三田線)下車(A1出口より)徒歩2分。

地図
応募資格・規約

■応募はプロ・アマ問いません。
■特別な規程のある賞を除きページ数は50ページ以内
■商業媒体未発表(投稿サイトやSNSなどを除く)のオリジナル作に限ります。同じ作品を同時期に他の新人賞(web媒体含む)へ応募するのはご遠慮ください。
■一作品につき一つの賞に応募可能です。
■受賞作品の出版権、上映・上演権、映像化権などの諸権利は集英社に帰属します。
■アナログ原稿は返却いたします。(返却先不明の場合は処分させていただく場合があります)

※応募された個人情報は厳重に管理し、本企画遂行以外の目的に使用することはありません。本企画遂行後、速やかに破棄致します。

審査員
ヤングジャンプ・グランドジャンプ・ウルトラジャンプ編集部&各賞審査員

締切
2020年5月31日(日)
※郵送の場合当日消印有効。

発表
本サイト・となりのヤングジャンプ ・ヤンジャン!アプリを予定。さらに優秀作品に関してはヤングジャンプ・グランドジャンプ・ウルトラジャンプ誌面に掲載される場合があります。

賞金
本サイト内の各賞詳細ページを参照してください。

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