インタビュー アイコン エッセイ漫画賞審査員 漫画家・芸人 矢部太郎

矢部 太郎氏写真

――「エッセイ漫画賞」の審査員を依頼されて、どう思いましたか?

矢: 漫画に限らず、審査員をするのは初めての経験です。未知のステージに立つようでグラグラしていますが、すごく嬉しいです! なによりエッセイ漫画を読むのが好きだし、せっかくの機会なのでお引き受けしました。諸先輩方がいるなかで僕が審査員だなんて、恐縮なんですけど。それにしても総額1億円とはYJすごいなあ! ZOZOTOWNの前澤社長みたいなスケールですよね。『孔雀王』(荻野真/集英社)がずっと好きで読んでいたので、感慨深いものがあります。革新的な漫画でしたよね! もちろん映画版も観ました。日本の漫画が香港との合作映画になるっていう点も新鮮でした。

――もともと漫画や映画などは、お好きだったんでしょうか?

矢:漫画は小さい頃からよく読んでいました。エッセイ漫画だったら、西原理恵子先生、つげ義春先生、益田ミリ先生が大好きで、ずっと読んでいます。映画に関して言うと、大事件が起こらない淡々とした作品が好きですね。アキ・カウリスマキ監督の作品などが好きです。あとは、好きな作家さんのおすすめ本を読んだりもします。子供の頃から手塚治虫先生の作品が大好きだったのですが、それも『まんが道』(藤子不二雄Ⓐ/少年画報社)を読んだのがきっかけでした。入門書やGペンなどを買って漫画を描こうとした時期もあったんですが、道具をそろえたら満足しちゃって(笑)。ちゃんと描いた記憶はないですね。

――そんな矢部さんが、本格的に漫画を描こうと思ったきっかけはなんだったんですか?

矢:倉科 遼先生に声をかけていただいたからです。倉科さんに、住んでいた家の大家さんとの日常のお話をしたら「面白いから、それ漫画にしたほうがいいよ」って言われて。最初は倉科さんが手がけるはずだったのが「やっぱり矢部くんが描きなよ。絵も味があるし、いいよ!」って言ってくださって。まさか『夜王』(原作・倉科遼、作画・井上紀良/集英社)の倉科先生に絵を褒められるとは思ってもみなかったので、びっくりしました。井上紀良先生や池上遼一先生など、名だたる巨匠とお仕事をされている方に背中を押されたので、すごく自信を持てましたね。「あの倉科先生が認めてくれたんだぞ!」って(笑)。

――それは自信になりますよね。でも執筆中に行き詰まったときは、どうやって乗り越えているんですか?

矢:絵の描き方で悩んだら好きな漫画を見て、そのまま参考にさせていただいています。、玄関ってどう描くんだろう? って困ったときは、益田ミリ先生の漫画を参考にして描きました。ちょっとだから一見わからないかもしれないけど、相当数の漫画をお手本にしています(笑)。

――芸人と漫画家の兼業で、苦労したことも多いのではないですか?

矢:3年しか描いてないから、まだ壁にぶつかっていないかも(笑)。以前、急遽50ページを描き下ろしたこともあるんですが、アシスタントさんがいないと描けない絵柄じゃないからか、なんとなくできちゃいました(笑)。

――舞台公演中は楽屋で漫画を描かれることもあるそうですね。

矢:楽屋で悩んでいるふりをわざとしていると、先輩芸人たちが「ここ、こうしたら?」とか「面白いね、いいよ!」って後押ししてくれるんです。「次の公演にはあの先輩がいるから、見てもらってアドバイスをもらおう!」って魂胆です(笑)。行く先々に担当編集さんがいるようで、心強いですよ。あと、どんな原稿を見せても絶対に「面白い!」って言ってくれる友人が2人いて。編集さんにチェックを出す前に、その友人たちに原稿を見せて「めっちゃいいよ!」と褒めてもらって、パワーにしています。自信を持って漫画を描くための環境づくりを大切にしているんです。だからほんこんさんには、絶対に最初には見せません(笑)。

――褒めてくれるご友人は芸人仲間ですか?

矢:ひとりは学生時代からの友人で、もうひとりは俳優の佐野泰臣くんです。佐野くんはあの優しい顔つきのとおり、僕の漫画にいつもあたたかくて力強い感想をくれる。だから、いつも最初に佐野くんに見てもらいます。『3年B組金八先生』(TBS系/放送終了)で金八先生の息子役を演じていたせいか、金八イズムが浸透していて、アドバイスにも人間味があるんですよね。

――もし厳しい意見をぶつけられたらどうされますか?

矢:そういう意見も大事だと思うので、基本的には素直に受け入れます。『大家さんと僕』は最初4コマで描いたんですが、編集さんに「4コマには鋭いオチが必要だから、矢部さんの漫画には向いてない」って言われて、8コマに変えたんです。4コマというスタイルにこだわりはなかったし、オチが2~3ページなくても僕らしくていいってアドバイスされて、現在の形に落ち着きました。もちろん「ここはこだわっていて、譲れない!」っていう部分もありますが。

――その「譲れないこだわり」とは?

矢:最初、編集さんにキャラクターの目をもっと大きく描くように言われたんです。読者がキャラクターと目を合わせることで、親しみを持ちやすくなる、と。でも目が合うのは恥ずかしくてイヤだから、そのままにしました。芸人の仕事でも、たまに揉めたりします。仲の良い人には「意外と頑固」って言われるんですよね。これも揉める相手はほぼ、ほんこんさんなんですけどね(笑)。

――大家さんの目は、もともと眼鏡の奥に隠れて見えませんよね。

矢:これは自分でも全然気づいていなかったんです。ふつうに大家さんの目を描いているときがあって、原稿チェックで「目が描いてあるけど、いいんですか?」と指摘されて。そこではじめて「あれ、僕これまで目を描いてなかったんだ!?」って気づいたという(笑)。大家さんってなにを考えているかわからないミステリアスな人だったので、表情が読めないよう、無意識に目を描いていなかったみたいです(笑)。

――大家さんの言葉や仕草は、記憶を辿って描いているんですか?

矢:そうですね。メモはほとんどしていなくて、思い出して描いています。大家さんにしても先輩にしても、何度も会っている人たちだから「こういうとき、ああ言ってたな。こう言うな」ってわかるんです。僕にとって日常だから、染み付いちゃってるんですよね。なんでもない毎日をかき集めて描いているだけですから。僕は出会った人たちや、面白い話をほぼ脚色なしで描かせてもらってるんです。大家さんは本当に素敵な人だから、そのまま描きたかったし、漫画に出てくる僕の先輩は、実在する吉本の先輩たちがモデルです。

――ご自身の「なんでもない毎日」に対する世間の反響をどう思いますか?

矢:本が出る前は「素人のおばあちゃんと売れない芸人の漫画なんか、誰が読むんだろう?」って気持ちはありました。でも、実際は大家さん世代のおばあちゃんたちからも面白いって言ってもらえて、すごく驚きました。もともと87歳の大家さんに読んでもらいたいと思っていたので、難しいコマ割りは避けて、読みやすく描くことを意識していたんです。それがよかったのかな。ご高齢の方には普通の漫画は読みにくいって聞いたので、長く読んでも疲れないように工夫して描きました。僕自身、漫画をずっと読んでると、ちょっと休憩したくなっちゃうので(笑)。

――具体的には、どのような工夫をされたんでしょう?

矢:あんまり面白くなりすぎないようにしました(笑)。面白い作品はいろいろ詰め込んであるので、疲れちゃうかなと思ったんです。あと目が疲れないよう、なるべくコマを黒く塗らないようにしています。塗り作業は、描いているこちらも疲れますから(笑)。
読者さんからの感想で知ったんですが、ある精神科の病院の待合室に、僕の漫画と猫の写真集だけが置かれているらしいです。専門家に「疲れない漫画」と認めてもらえた気がして嬉しいです(笑)。

――『大家さんと僕 これから』で、大家さんの思い出をマルク・シャガールの絵画と融合させて描かれていますが、あのアイデアはどのように生まれたんですか?

矢:絵画はよく父と鑑賞に行っていたので、子供の頃から好きで。マジックリアリズムの小説などがヒントになっているかもしれないです。自分が感じたことをどうやったらうまく表現できるのかを模索していたので、その方法のひとつとして、ああいう表現を取り入れたんです。シャガールも、ある意味マジックリアリズムの画家ですよね。

――「エッセイ漫画」を描くコツなどはありますか?

矢:ほかのジャンルと違って、エッセイ漫画って「こうやって描けば漫画っぽくなる」というフォーマットがあると思うんです。それをなぞれば、絵のうまさとか、パースの正確さとか、そういう難しいことをすっ飛ばして、誰でもそれなりのものが描ける。僕にも描けたくらいだし(笑)。漫画を描いたことのない人でも名作を生み出せる可能性がある、敷居の低いジャンルだと思うんです。

――そのフォーマットについて、詳しく教えていただけますか?

矢:それは企業秘密です(笑)。ただ簡単に言うと、絵日記っぽく描けばいいのかなって。文章だけで成立させて、それに絵をつければ完成! あれ、けっこう踏み込んだこと言っちゃってるな(笑)。

――ありがとうございます(笑)。最後に「エッセイ漫画」の応募者に向けて、ご声援をお願いします。

矢:僕は倉科先生に声をかけていただくまでは、自分の日常が漫画になる可能性があることに気づいていなかった。だれでも他人から見たり視点を変えれば、面白いエピソードや体験がきっとある。意外と描きやすいジャンルだと思うので、今回の漫画賞でたくさんの作品と出会えるのを楽しみにしています。

賞金総額

応募資格:プロ・アマ問わず/ページ数:50ページ以内/一作品につき一つの賞に応募可能です。

受賞作はとなりのヤングジャンプ ・ヤンジャン!アプリに掲載予定です。さらに優秀作品に関してはヤングジャンプ・グランドジャンプ・ウルトラジャンプ誌面に掲載される場合があります。また、大賞・準大賞・審査員特別賞の受賞者は2021年1月開催予定の授賞式にもご招待いたします。(※交通費の支給は大賞受賞者ご本人様のみとなります)

最終候補作投稿者にはヤングジャンプ定期購読デジタルが1年間無料となる特典もございます。


※各漫画賞ごとに審査のうえ、受賞作を決定します。
※受賞本数内訳は各審査結果により異なり、各漫画賞の賞金250万円の内訳は各漫画賞で異なります。
※全40漫画賞の賞金総額が最大で1億円となります。
※賞によっては条件の異なるものもございます。詳細は賞ごとの概要をご確認ください。
※商業媒体未発表(投稿サイトやSNSなどを除く)のオリジナル作に限ります。同じ作品を同時期に他の新人賞(web媒体含む)へ応募するのはご遠慮ください。
※受賞作品の出版権、上映・上演権、映像化権などの諸権利は集英社に帰属します。
※応募された個人情報は厳重に管理し、本企画遂行以外の目的に使用することはありません。本企画遂行後、速やかに破棄致します。

郵送の場合

宛先
〒101-8052
神田郵便局 郵便私書箱 第66号
「1億円40漫画賞」係
※返却原稿用封筒を同封してください。切手不要です。

<郵送用書式をダウンロードする>

記入事項
原稿の最終ページ裏に下記を記入してください。
■郵便番号
■住所
■氏名(本名とペンネーム)・年齢
■職業
■電話番号(都合の良い時間帯も)
■今までの投稿・掲載歴
■志望雑誌(ヤングジャンプ・となりのヤングジャンプ&ヤンジャン!アプリ・グランドジャンプ・ウルトラジャンプ)※複数回答可
■作品を投稿する賞名 ※一作品につき一つの賞に応募可能です

※手書きの場合はB4判の紙に黒インクか墨汁で描き、セリフは鉛筆で濃く書いてください。絵柄にかかる場合はトレーシングペーパーの上に。版面は270×180ミリ(右図参照)。

原稿サイズ
WEBの場合

応募フォームより必要事項を入力の上、原稿データをアップロードしてください。

原稿作成時のデータは指定なく自由に作成可能ですが、提出にはweb掲載用としてjpegもしくはpngファイルにてアップロードしてください。
原稿は原則として、アナログ原稿の版面に準じます。
B4サイズでプリントアウトされるように設定し、その際、上下左右20mm以上の余白が出来るように作成してください。
各ページに必ずノンブル(ページ番号)を記載してください。
ファイルサイズの上限は100MBです。
そのサイズを超える作品は、CD-Rなどに書き込み、プリントアウトを別途添えて郵送にてご応募ください。

アップロードするファイルは圧縮し、ファイル名は「(作品名の半角英数小文字).zip」でお願いします。
例)shinman.zip

各頁jpeg/pngファイルのファイル名は半角アルファベットのタイトル名+ページ数3桁でお願いします。
例)
shinman001.jpg
shinman002.jpg
応募作品はサイズを軽くしたデータでも可ですが、最終候補作に選出された場合、オリジナルデータを別途お送りいただく場合があります。

受賞作品はすべて「となりのヤングジャンプ」「ヤンジャン!」アプリに掲載いたします。
さらに優秀作品に関してはヤングジャンプ・グランドジャンプ・ウルトラジャンプ誌面に掲載される場合があります。

WEBで投稿する
あしたのヤングジャンプ投稿の場合

各漫画賞のリンクより、アカウントをお持ちの方は投稿フォームから「あしたのヤングジャンプ」規約に従って投稿してください。
投稿作品は通常投稿と異なり、賞の決定まで非公開となります。
ただし、すでに「あしたのヤングジャンプ」内で公開済みの作品の投稿や同一作品を別途投稿することは可能です。
最終候補に残った作者様には編集部からご連絡して、年齢・性別・住所・電話番号・志望雑誌をお聞きいたします。
またその際にオリジナルデータを別途お送りいただきますので保存しておくようお願いいたします。なお、選考結果発表日時は目安です。選考状況によって前後する場合があります。

あしたのヤングジャンプで投稿する
持ち込みの場合

持ち込みご希望の場合は、平日の13時~ヤングジャンプ編集部までご連絡ください。
YJ編集部TELL

東京都千代田区神田神保町3-13
集英社 週刊ヤングジャンプ編集部
地下鉄『神保町』駅(東京メトロ半蔵門線・都営新宿線・都営三田線)下車(A1出口より)徒歩2分。

地図
応募資格・規約

■応募はプロ・アマ問いません。
■特別な規程のある賞を除きページ数は50ページ以内
■商業媒体未発表(投稿サイトやSNSなどを除く)のオリジナル作に限ります。同じ作品を同時期に他の新人賞(web媒体含む)へ応募するのはご遠慮ください。
■一作品につき一つの賞に応募可能です。
■受賞作品の出版権、上映・上演権、映像化権などの諸権利は集英社に帰属します。
■アナログ原稿は返却いたします。(返却先不明の場合は処分させていただく場合があります)

※応募された個人情報は厳重に管理し、本企画遂行以外の目的に使用することはありません。本企画遂行後、速やかに破棄致します。

審査員
ヤングジャンプ・グランドジャンプ・ウルトラジャンプ編集部&各賞審査員

締切
2020年5月31日(日)
※郵送の場合当日消印有効。

発表
本サイト・となりのヤングジャンプ ・ヤンジャン!アプリを予定。さらに優秀作品に関してはヤングジャンプ・グランドジャンプ・ウルトラジャンプ誌面に掲載される場合があります。

賞金
本サイト内の各賞詳細ページを参照してください。

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