インタビュー アイコン 映画監督『カメラを止めるな!』上田慎一郎

上田慎一郎氏写真

――「ゾンビ漫画賞」の審査員をお引き受けくださりありがとうございます。他業種の分野と言える、この度の審査員を引き受けようと思われた経緯をうかがえますでしょうか。

上:映画祭で審査員のオファーをいただくことはありますが、積極的には受けていないんです。自分はまだ審査する立場じゃなく、プレイヤーとしてバリバリやっていくほうを優先したいという意識があるので。
でも今回は、僕のような他業界の者の目が入ることで、もしかしたら、漫画界に違う風を吹かせることができるかもと思って引き受けました。映画賞でも、他業種の審査員が持たれている独自の見解を新鮮に感じることが多いので、自分がそういうポジションになれればいいな、と思っています。

――子供の頃から漫画はお好きでしたか?

上:漫画は貪るように読んでましたね。部屋の本棚いっぱいに、1000冊以上の漫画が並んでました。「週刊少年ジャンプ」も毎週買っていましたよ。中学・高校時代は、映画よりも漫画に割いた時間のほうが多いかもしれない。僕は映画館がないような田舎で育ったので、映画はレンタルビデオ店で借りるしかなかったし、鑑賞時間を確保するのを難しく思っていたんですよね。その点、漫画は空いた時間にさっと読めます。僕は勉強熱心なタイプじゃなかったので、授業中にこっそり読んだりもしましたね(笑)。

――たとえば、どんな漫画作品がお好きだったんでしょうか?

上:思春期に読んだ漫画が、自分のオールタイムベストにずっと残ってます。まず『沈黙の艦隊』(講談社)ですね。かわぐちかいじ先生、大好きなんですよ。『寄生獣』(岩明 均/講談社)、『MASTERキートン』(浦沢直樹/小学館)、『H2』(あだち充/小学館)、『SLAM DUNK』(井上雄彦/集英社)、『幽☆遊☆白書』(冨樫義博/集英社)、『ベルセルク』(三浦建太郎/白泉社)など、少年誌も青年誌も読んでいました。ギャグ漫画だと『伝染るんです。』(吉田戦車/小学館)、『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』(うすた京介/集英社)、『行け!稲中卓球部』(古谷 実/講談社)が好きだったな。ほかにも、図書館で手塚治虫作品を読んだり。言い出したらキリがないくらい、いっぱいあります。

――子供の頃から幅広いジャンルの漫画を読まれていたんですね。

上:エンターテインメントを生業としているから、今でもある程度は読んでます。最近面白かったのは『青野くんに触りたいから死にたい』(椎名うみ/講談社)です。『ゴールデンゴールド』(堀尾省太/講談社)とか、『マイホームヒーロー』(原作・山川直輝原作、作画・朝基まさし/講談社)もよかったですね。
映画からのインプットだけで映画を作るのではなく、漫画や本など違うジャンルからもインプットをしたいので、そういう時間をたっぷり取りたいとつねづね思っています。いいアウトプットをするためには、まず膨大なインプットが必要。食事といっしょで、いつも同じものばかり食べていると、栄養が偏っちゃいますしね。今回、漫画賞の審査員を引き受けたことで、半ば強制的にたくさんの漫画を読めるので楽しみです。

――中学時代にお父様のハンディカムで自主映画を制作されていたそうですが、その頃から表現欲求は強かったのでしょうか?

上:人によると思うんですが、インプットが一定量を超えると自分で作りたくなるんじゃないかな。僕は漫画をたくさん読んだから自分でも描きたくなったし、映画もいっぱい観たから撮りたくなった。漫画は大学ノートに鉛筆で書いて、友達に感想をもらう程度でしたけど。漫画も映画も、まわりに好きで作っている仲間が多かったので、自由に見せ合える環境でした。ほかにも、お笑いが好きだったから漫才やコントを作って文化祭で披露したりして。ジャンル問わず、表現することが好きだったんでしょうね。

――映画制作において、漫画から受けた影響は大きいですか?

上:そうですね、表現のひとつとして漫画の影響は大きくありますね。自分の映画作品の登場人物も、いい意味でも悪い意味でも“漫画っぽい”と言われます。
映画制作では「キャラクターとストーリーのどっちが大事か?」という議論があるんですが、個人的に、漫画は絶対にキャラクターのほうが大事だと思っています。とくに日本の少年漫画は、映画に比べてキャラクターが立っているなと感じます。キャラクターがしっかりしていれば、ストーリーは勝手に動いていくことが多いと思うんです。僕が脚本を書くときも、ストーリーのためにキャラクターを動かすんじゃなくて、キャラクターがストーリーを作っていくように心がけています。格好つけた言い方をすると、しっかりしたキャラクターが出来上がると、僕はただそのキャラクターに「書かされているだけ」という状態になる。キャラクターが物語に奉仕することなく、勝手に動いてくれるんですよ。

――漫画と映画の制作過程には、似たところがあるんですね。

上:そうですね。全然違うけど、近いところもありますよね。映画と漫画は、互いに影響を受け合っているんじゃないでしょうか。浦沢直樹先生の漫画なんか、もう映画だなと思います。僕の映画も漫画のコマ割りの影響を受けているかもしれないですね。
あと、漫画以外にも映画的な演出に惹かれることが多くて、テレビゲームでもよく遊んでいましたね。『ファイナルファンタジーVII』(スクウェア・エニックス)が発売されたときは衝撃でした。小島秀夫監督の『メタルギア』や『ポリスノーツ』(ともにコナミデジタルエンタテインメント)も好きですし、『街 ~運命の交差点~』(スパイク・チュンソフト)もよく遊びました。どれもゲーム性は高いけれど、ストーリーが前面に出ていて、とても映画的で。「映画的」ってなんなんだよ? って聞かれると一言では語れませんが(笑)。漫画同様、ゲームも僕の映画制作に影響していると思います。

――映画の制作過程において、上田監督が重視していることはなんでしょうか?

上:作品中に「原始的な欲求があるかどうか?」の確認はしています。死が怖い、あの人が好き、寝たい、といった全世界の人が共通で持っていて、原始人が見てもわかるような欲求っていうのは、“強い”んですよ。だから、生きるか死ぬかが繰り返し描かれるゾンビものは“強い”。「死にたくない!」っていうのは人間のもっとも原始的な欲求だし、そこまで強烈じゃない欲求であっても、「あの子が好きだからがんばる」みたいなのは、説明不要じゃないですか。

――漫画を描くことに行き詰まって、挫折してしまう人も多いと思います。上田監督は創作に行き詰まることはありますか?

上:そんなの毎日ですよ(笑)。理想はあるけど、そこへの辿り着き方がわからない。このままじゃダメだなと思う日々です。そんなときは人と話したり、散歩をしたり、寝たりして気分を変えます。才能やセンスより、行き詰まったときに寄りかかれる仲間や場所があることのほうが、作り手にとっては大事なんじゃないかと思うときもあります。
仲間がいなくても、ブログやSNSで「行き詰まっている」とか「迷っている」と、吐き出すだけでもいい。行き詰まっているときに、それを認めるのは大事ですよね。吐き出して認めることで、悪い空気を換気できると思いますよ。

――「ゾンビ部門」の漫画を描こうとする人に、見ておいてほしいおすすめの作品はありますか?

上:現在のゾンビものの”祖”であるジョージ・A・ロメロ監督の映画『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』。「ゾンビに噛まれたら感染する」みたいな表面的なことだけじゃなくて、「大切な人がゾンビに噛まれたらどうする?」とか「人間のほうが怖い」といった内面的なものを含め、この映画には“ゾンビ”というジャンルのすべてが詰まっています。こういう作品を通じて、自分のなかに「そもそもゾンビとは」という土台をしっかり構築させておかないと、邪道で描いても途中で倒れちゃうと思います。
あえてツボをはずすならいいんですが、土台がしっかりしていないのに違うツボを押すのは、難しいと思いますね。最近のゾンビものは、動物がゾンビになって襲ってきたり、水中にゾンビがいたりと、なんでもありになってきている(笑)。ゾンビっぽいものが追いかけてくるのが「ゾンビもの」ではないんです。たとえば、ゾンビが会話をする漫画を描きたいなら「ゾンビは意思を持たない」という原則を提示するツッコミ役を登場させるといいかもしれませんね。ちゃんとゾンビを理解したうえで、“あえて新しいことをやろうとしている”っていうのが読者に伝わりますから。

――「新しいゾンビもの」の漫画を描くには、どうしたらいいでしょう?

上:とっかかりのひとつとして、自分が好きな単語を並べてゾンビと掛け合わせてみたらどうでしょう。たとえば「相撲×ゾンビ」とか (笑)。あと「これがゾンビになったらテンションが上がる!」というものを探すといいと思います。自分の好きなものと絡めたり、自分が見たいものなら、自然とモチベーションは高くなる。そのうえで登場人物、構成、視点などの要素をどんどん書き出して、それらを変えてみたらどうだろう?と、ひとつずつ検証してみるんです。

――ご参考にされる方が多そうです。今回の漫画賞では、どんなゾンビ漫画を読んでみたいですか?

上:ゾンビを人間の敵ではなく、恋愛や研究対象として登場させるなど、視点を変えた作品を読んでみたいですね。たとえばソンビの生態を研究する研究者視点の話とか。もしくはゾンビしか登場しなくて、サイレント映画のようにセリフが一言もない漫画とか。「ゾンビものをこんなふうに描いた作品は見たことない」というのが理想ですが、どう振り切ってオリジナリティーを出すかは課題ですよね。

――最後に、漫画家を目指されている方にエールをお願いします。

上:僕は中学生の頃にカメラを使って映画を撮りはじめたけど、そのときは映画監督になろうとはっきり決めていたわけじゃないんです。ただ撮りたいから、楽しいから撮っていただけ。でも、映画を撮る理由が「映画監督になるため」に変わってから、しんどいことがたくさん出てきた。
映画祭に出す作品も、「この映画祭ならこう撮ったら賞を狙えるかな?」とか「審査員がご年配の方だから、こうしたらウケるかな?」って下心を抱えながら作りつつ、なんとか自分のオリジナリティーを残そうともがく(笑)。『カメラを止めるな!』は、いったん全部そういうのを捨てて、中学生の頃のように「撮りたいものを撮る。やりたいことをやる!」という気持ちで撮ったんです。そうして完成した作品が、結果的には高い評価を得てヒットした。
だから、漫画家を目指すにしても「自分が描きたいものを描く!」というのは、真ん中に置いておいたほうがいいと思います。極端だけど「賞金100万円が欲しいから描く」んじゃなくて、逆に「100万円払ってでも描かせてくれ!」っていうものがあれば、あとはそれを描くだけで“勝ち”だと思いますよ。

賞金総額

応募資格:プロ・アマ問わず/ページ数:50ページ以内/一作品につき一つの賞に応募可能です。

受賞作はとなりのヤングジャンプ ・ヤンジャン!アプリに掲載予定です。さらに優秀作品に関してはヤングジャンプ・グランドジャンプ・ウルトラジャンプ誌面に掲載される場合があります。また、大賞・準大賞・審査員特別賞の受賞者は2021年1月開催予定の授賞式にもご招待いたします。(※交通費の支給は大賞受賞者ご本人様のみとなります)

最終候補作投稿者にはヤングジャンプ定期購読デジタルが1年間無料となる特典もございます。


※各漫画賞ごとに審査のうえ、受賞作を決定します。
※受賞本数内訳は各審査結果により異なり、各漫画賞の賞金250万円の内訳は各漫画賞で異なります。
※全40漫画賞の賞金総額が最大で1億円となります。
※賞によっては条件の異なるものもございます。詳細は賞ごとの概要をご確認ください。
※商業媒体未発表(投稿サイトやSNSなどを除く)のオリジナル作に限ります。同じ作品を同時期に他の新人賞(web媒体含む)へ応募するのはご遠慮ください。
※受賞作品の出版権、上映・上演権、映像化権などの諸権利は集英社に帰属します。
※応募された個人情報は厳重に管理し、本企画遂行以外の目的に使用することはありません。本企画遂行後、速やかに破棄致します。

郵送の場合

宛先
〒101-8052
神田郵便局 郵便私書箱 第66号
「1億円40漫画賞」係
※返却原稿用封筒を同封してください。切手不要です。

<郵送用書式をダウンロードする>

記入事項
原稿の最終ページ裏に下記を記入してください。
■郵便番号
■住所
■氏名(本名とペンネーム)・年齢
■職業
■電話番号(都合の良い時間帯も)
■今までの投稿・掲載歴
■志望雑誌(ヤングジャンプ・となりのヤングジャンプ&ヤンジャン!アプリ・グランドジャンプ・ウルトラジャンプ)※複数回答可
■作品を投稿する賞名 ※一作品につき一つの賞に応募可能です

※手書きの場合はB4判の紙に黒インクか墨汁で描き、セリフは鉛筆で濃く書いてください。絵柄にかかる場合はトレーシングペーパーの上に。版面は270×180ミリ(右図参照)。

原稿サイズ
WEBの場合

応募フォームより必要事項を入力の上、原稿データをアップロードしてください。

原稿作成時のデータは指定なく自由に作成可能ですが、提出にはweb掲載用としてjpegもしくはpngファイルにてアップロードしてください。
原稿は原則として、アナログ原稿の版面に準じます。
B4サイズでプリントアウトされるように設定し、その際、上下左右20mm以上の余白が出来るように作成してください。
各ページに必ずノンブル(ページ番号)を記載してください。
ファイルサイズの上限は100MBです。
そのサイズを超える作品は、CD-Rなどに書き込み、プリントアウトを別途添えて郵送にてご応募ください。

アップロードするファイルは圧縮し、ファイル名は「(作品名の半角英数小文字).zip」でお願いします。
例)shinman.zip

各頁jpeg/pngファイルのファイル名は半角アルファベットのタイトル名+ページ数3桁でお願いします。
例)
shinman001.jpg
shinman002.jpg
応募作品はサイズを軽くしたデータでも可ですが、最終候補作に選出された場合、オリジナルデータを別途お送りいただく場合があります。

受賞作品はすべて「となりのヤングジャンプ」「ヤンジャン!」アプリに掲載いたします。
さらに優秀作品に関してはヤングジャンプ・グランドジャンプ・ウルトラジャンプ誌面に掲載される場合があります。

受付終了
あしたのヤングジャンプ投稿の場合

各漫画賞のリンクより、アカウントをお持ちの方は投稿フォームから「あしたのヤングジャンプ」規約に従って投稿してください。
投稿作品は通常投稿と異なり、賞の決定まで非公開となります。
ただし、すでに「あしたのヤングジャンプ」内で公開済みの作品の投稿や同一作品を別途投稿することは可能です。
最終候補に残った作者様には編集部からご連絡して、年齢・性別・住所・電話番号・志望雑誌をお聞きいたします。
またその際にオリジナルデータを別途お送りいただきますので保存しておくようお願いいたします。なお、選考結果発表日時は目安です。選考状況によって前後する場合があります。

受付終了
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YJ編集部TELL

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応募済みの作品の再投稿について

締め切りの延長に伴い、ご応募が完了している作品の再投稿を以下の通り受け付けます。

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●WEB投稿の場合
修正した同作品の再アップロードをお願いいたします。同じ作品がアップされている場合、締め切り時点での最新の画稿にて審査いたします。

●あしたのヤングジャンプ投稿の場合
ご自身のダッシュボードの投稿作品一覧より随時差し替え、加筆を行うことが可能です。締め切り時点の画稿にて審査いたします。

応募資格・規約

■応募はプロ・アマ問いません。
■特別な規程のある賞を除きページ数は50ページ以内
■商業媒体未発表(投稿サイトやSNSなどを除く)のオリジナル作に限ります。同じ作品を同時期に他の新人賞(web媒体含む)へ応募するのはご遠慮ください。
■一作品につき一つの賞に応募可能です。
■受賞作品の出版権、上映・上演権、映像化権などの諸権利は集英社に帰属します。
■アナログ原稿は返却いたします。(返却先不明の場合は処分させていただく場合があります)

※応募された個人情報は厳重に管理し、本企画遂行以外の目的に使用することはありません。本企画遂行後、速やかに破棄致します。

審査員
ヤングジャンプ・グランドジャンプ・ウルトラジャンプ編集部&各賞審査員

締切
2020年7月31日(金)
※郵送の場合当日消印有効。

発表
本サイト・となりのヤングジャンプ ・ヤンジャン!アプリを予定。さらに優秀作品に関してはヤングジャンプ・グランドジャンプ・ウルトラジャンプ誌面に掲載される場合があります。

賞金
本サイト内の各賞詳細ページを参照してください。

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